はい、どうもです。
ここでは過去問の解説を大問ごとにまとめております。
今回は、
2020年度 関西学院大学 個別日程(経済・人間福祉・国際)
世界史 大問Ⅰ ルネサンス
の解説を行います。それでは見ていきましょう。
大問Ⅰ ルネサンス
①中世ヨーロッパの文化に関する記述として、誤りを含むものはどれか。
a イタリア出身のアルクインは「スコラ学の父」と呼ばれる。
b フランスのスコラ学者アベラールは唯名論を唱えた。
c パリのノートルダム大聖堂の「ノートルダム」とは「聖母マリア」を指す。
d イタリア南部にあるサレルノ大学は医学で有名であった。
解説 誤りはa
アルクインはイタリアではなくイギリス出身の神学者。アルクインはフランク王国のカール大帝に招かれて、カロリング=ルネサンスの中心的役割を果たす。また「スコラ学の父」と呼ばれたのはアンセルムス(伊)で、実在論を唱える。また唯名論の代表的論者はアベラール(仏)とウィリアム=オブ=オッカム(英)。大学や大聖堂については以下のブログ記事を参照。
②東方貿易に関する記述として、誤りを含むものはどれか。
a 東方貿易とは、レヴァント地方との取引を指している。
b 東方貿易により、イスラーム世界と接触する機会が増加した。
c 東方貿易によって発生した価格革命により、ヨーロッパの物価が上昇した。
d 東方貿易では、絹織物や宝石などの奢侈品が取り扱われた。
解説 誤りはc
東方貿易(レヴァント貿易)は、地中海東岸地方に送られてきた香辛料や絹織物、宝石などのアジアの商品を、ヴェネツィアなどの北イタリア諸都市がヨーロッパ各地に運んだ貿易のことで、価格革命は16世紀半ば以降アメリカ大陸のポトシ銀山発見などによる銀がヨーロッパに大量に流入し、銀の価格が下落し、物価が急激に上昇した。価格革命と東方貿易(レヴァント貿易)は関係がない。
➂中世の都市に関する記述として、誤りを含むものはどれか。
a 領主が与える特許状によって都市の自治権が認められた。
b ドイツでは、農奴が1年間と1日都市に住めば自由身分を獲得するとされた。
c 北イタリアでは、神聖ローマ皇帝の政策に対抗してロンバルディア同盟が結ばれた。
解説 誤りはd
ハンザ同盟は貿易の保護と諸侯勢力に対抗するために軍隊を所有しており、14世紀にデンマークを破って最盛期を迎えた。ちなみに都市の自治権が認められた都市を自治都市と言い、北部・中部イタリアで成立した自治都市をコムーネ、またドイツ皇帝直属の自治都市の事を帝国都市(自由都市)と呼ぶ。ロンバルディア同盟は神聖ローマ皇帝のフリードリヒ1世・フリードリヒ2世の進出に対し、2回組織された。
④フランドル地方に羊毛を輸出したことで知られる北海貿易の中心都市はどれか。
a ガン
b ヴュルツブルグ
c ブリュージュ
d ロンドン
解説 正解はd
ガン(ヘント)はフランドル地方の都市で、毛織物生産と商業で繁栄した。ブリュージュ(ブルッヘ)もフランドル地方の都市で毛織物産業で繁栄した。
⑤金融業で繁栄したフッガー家が拠点とした南ドイツの都市はどれか。
a アウクスグルグ
b アントウェルペン
c ハンブルク
d リューベック
解説 正解はa
フッガー家は、南ドイツのアウクスブルクを拠点に銀銅の採掘や販売、銀行業で富を得る。ハンブルクは北ドイツのエルベ川に面した港湾都市。リューベックは北ドイツの港湾都市でハンザ同盟の盟主となる。
⑥ミケランジェロに関する記述として、誤りを含むものはどれか。
a 「天地創造」はシスティナ礼拝堂の天井画である。
b ブルネレスキが設計したサン=ピエトロ大聖堂の建築に携わった。
d 「ダヴィデ像」は、フィレンツェの自由と独立の象徴とみなされた。
解説 誤りはb
サン=ピエトロ大聖堂の最初の設計者はブラマンテである。ブルネレスキはサンタ=マリア大聖堂の大円蓋を設計した。なお、「最後の審判」はミケランジェロがパウルス3世の命によりシスティナ礼拝堂の大祭壇奥に描いた壁画である。
⑦ドイツ人芸術家デューラーに関する記述として、正しいものはどれか。
a 絵画「四人の使徒」のほかに、版画でも知られる。
b イギリスに招かれ、国王ヘンリ8世の肖像画を描いた。
c 「ヘントの祭壇画」などで精密な絵画を描いた。
d 「農民画家」と呼ばれることがある。
解説 正しいのはa
イギリス国王ヘンリ8世の肖像画を描いたのはデューラーではなくホルバインであり、「ヘントの祭壇画」はファン=アイク兄弟が描き、兄はフランドル絵画の創設者、弟は油絵画法を改良した。「農民画家」と呼ばれたのは「農民の踊り」を描いたブリューゲル。
⑧北方ルネサンスに関する記述として、誤りを含むものはどれか。
a イギリスの劇作家シェークスピアはメアリ1世の治世に活躍した。
b イギリスのトマス=モアは社会を風刺した『ユートピア』を著した。
c フランスの作家ラブレーは『ガルガンチュアとパンタグリュエルの物語』で有名である。
d スペインの作家セルバンテスは『ドン=キホーテ』で後世に名を残した。
解説 誤りはa
シェークスピア(英)が活躍したのはエリザベス1世~17世紀初めに活躍し、四大悲劇『ハムレット』『オセロー』『マクベス』『リア王」、喜劇『ヴェニスの商人』などを残す。
以上です。