はい、どうもです。
ここでは過去問の解説を大問ごとにまとめております。
今回は
2020年度 関西学院大学 全学日程(2/1)
世界史 大問Ⅲ 19世紀前半のイギリス
の解説を行います。それでは見ていきましょう。
大問Ⅲ 19世紀前半のイギリス
①ウィーン会議に関する記述として、誤りを含むものはどれか。
b 正統主義と勢力均衡を基本原則とするウィーン議定書が採択された。
c 会議後、ブルボン家が両シチリア王国を統治するようになった。
d スイスの永世中立が認められた。
解説 誤りはa
ウィーン会議の主宰はオーストリア外相のメッテルニヒである。タレーランはフランスの外相で、ウィーン会議の基本原則である正統主義(フランス革命前の各国の王朝と体制に戻そうとした考え)を提唱した。
②イギリスがウィーン会議で領有を認められたのはどこか。
a セイロン島
b フロリダ
c ベッサラビア
d ジブラルタル
解説 認められたのはa
ウィーン会議で、セイロン島(スリランカ)の領有権がオランダからイギリスに移った。なお、ベッサラビアはウィーン会議でロシアの領有が確認された。
③イギリスのアジア地域への進出に関する記述として、誤りを含むものはどれか。
a 第1次アフガン戦争では、英領インドからアフガニスタンへの進出に失敗した。
b シク戦争に勝利して、パンジャーブ地方を支配下におさめた。
d 第1回イギリス=ビルマ戦争で、コンバウン朝を破った。
解説 誤りはc
イギリス東インド会社は1600年に設立されたが、インド大反乱(シパーヒーの反乱(1857~1859)の責任を問われ、インド大反乱中に解散させられた(1858)。その後、インドはイギリス政府の直接支配下に置かれ、1877年からヴィクトリア女王がインド皇帝を兼任した。
④1820年代末に廃止された法律はどれか。
a 労働組合法
b 教育法
c 航海法
d 審査法
解説 正解はd
審査法はチャールズ2世のカトリック政策に対抗して議会が制定した、公職就任者をイギリス国教会にかぎるとした法律(1673)。審査法の廃止は1828年。なお、イギリスの貿易の保護・促進を目的に作られた航海法(1651)は、1849年に廃止された。航海法廃止は、穀物法廃止(1846)とともに、自由貿易体制を実現した。
⑤イギリスの産業革命に関する記述として、誤りを含むものはどれか。
a ジョン=ケイが発明した飛び杼(梭)によって綿布生産が激増した。
b 鉄道技術者であるスティーヴンソンは蒸気機関車を実用化した。
c リヴァプールはマンチェスター産の綿製品の輸出で発達した。
d カートライトは綿糸を生産する力織機を発明した。
解説 誤りはd
カートライトが発明した力織機は、綿糸を生産する機械ではなく綿糸から布を織る機会である。綿糸を生産する機械は紡績機と呼ぶ。
蒸気機関車を発明したのはトレヴィシック(英)であるが、スティーヴンソンが1825年にストックトン・ダーリントン間で貨車・客車の牽引に成功して実用化し、1830年にマンチェスター・リヴァプール間で営業運転が始まった。
⑥第1回選挙法改正に関する記述として、誤りを含むものはどれか。
a 有権者が著しく減少した腐敗選挙区が多く残っていたことが背景となった。
b トーリ党内閣によって改正が実現された。
d 選挙法が改正された後も、地主階級は長く政治的な影響力を保持した。
解説 誤りはb
第1回選挙法改正はホイッグ党のグレー内閣によって実現した最初の選挙法改正(1832)。腐敗選挙区(有権者が減少して地域有力者の支配下に置かれていた極小選挙区)の廃止などが実現した。
⑦チャーティスト運動に関する記述として、誤りを含むものはどれか。
a 議員の財産資格の撤廃が要求された。
b 21歳以上の男女の普通選挙権が要求された。
c 綱領である人民憲章が議会に提出された。
d 参政権を求める請願は、議会によって拒否された。
解説 誤りはb
チャーティスト運動は、中産階級や都市労働者が参政権を獲得するために行った政治運動で、人民憲章(ピープルズ=チャーター)を政治綱領とした。この人民憲章での要求内容は、①21歳以上の男性普通選挙権②議員の財産資格撤廃③毎年の議会改選④平等な選挙区⑤議員の有給制⑥無記名秘密投票の6ヵ条である。
なお、男女の普通選挙法については、第4回選挙法改正(1918)で、21歳以上の男性と30歳以上の女性に参政権が認められ、第5回選挙法改正(1928)で21歳以上の女性にも参政権が認められ、男女の権利が平等になった。
⑧イギリスの自由貿易に関する記述として、誤りを含むものはどれか。
a コブデンが反穀物法同盟を組織して、自由貿易の推進を主張した。
b 国産農業保護法である穀物法は、保守党のディズレーリ内閣の下で廃止された。
c アダム=スミスやリカードは、対外取引に関する国家の管理や統制の排除を主張した。
d 諸外国に自由貿易の実施を求めることで、事実上の植民地を拡大していった。
解説 誤りはb
国産農業保護法である穀物法は、コブデンが結成しブライトも参加した反穀物法同盟(本部はマンチェスター)による運動によって、1846年に保守党のピール内閣のもとで廃止された。
以上です。