世界史過去問解説(2020年度 関西学院大学 全学日程(2/1) 大問Ⅰ 古代オリエント)

はい、どうもです。

 

ここでは過去問の解説を大問ごとにまとめております。

 

今回は

2020年度 関西学院大学 全学日程(2/1) 

世界史 大問Ⅰ 古代オリエント

の解説を行います。それでは見ていきましょう。

 

 

大問Ⅰ 古代オリエント

古バビロニア王国(バビロン第1王朝)に関する記述として、誤りを含むものはどれか。

a アムル人がバビロンを首都に建てた国である。

b この王国に支配されたヘブライ人はバビロンに強制移住させられた。

c パリのルーブル美術には、楔形文字で刻まれた「ハンムラビ法典」の石碑が残る。

d 運河の大工事により河川の治水や灌漑がすすめられた。

解説 誤りはb

ヘブライ人をバビロンに強制移住させたのは、ネブカドネザル2世時代の新バビロニア(カルデア)である。

バビロン第一王朝は、セム語系遊牧民のアムル人がバビロンを都において建てた王朝。ハンムラビ王の時に最盛期を迎え、「目には目を、歯には歯を」で有名なハンムラビ法典を制定した。

 

アッシリアに関する記述として、誤りを含むものはどれか。

a アッシュルバニパルはニネヴェに図書館を造った。

b 強力な騎兵隊を活用してオリエント全体の支配を成し遂げた。

c 国内を州に分け、駅伝制を整備した。

d アナトリアヒッタイト勢力によって滅ぼされた。

解説 誤りはd

アッシリア王国を滅ぼしたのは、新バビロニアとメディアである。ヒッタイトアッシリア王国が成立している時期が違いすぎるため、正解できるだろう。

 

③イランに関する記述として、誤りを含むものはどれか。

a メディアがエクバタナを都として建てられた。

b アケメネス朝のダレイオス1世は「諸王の王」と称した。

c パルティアはアンティゴノス朝から独立し、クテシフォンに都を置いた。

d ペルセポリスアレクサンドロス大王によって破壊された。

解説 誤りはc

パルティアはセレウコス朝シリアから独立した。アレクサンドロス大王の死後、その部下たちがそれぞれアンティゴノス朝マケドニアセレウコス朝シリア、プトレマイオス朝エジプトを建国したので、教科書の地図などで位置関係を理解する事。セレウコス朝シリアからは、パルティア(イラン系国家)とバクトリア(ギリシア系国家)が自立した。

 

ゾロアスター教に関する記述として、誤りを含むものはどれか。

a 最後の審判や天国の存在が信じられた。

b 経典は『アヴェスター』である。

c マニ教をもとに生まれた。

d ササン朝の国教に定められた。

解説 誤りはc

マニ教は、マニがゾロアスター教キリスト教・仏教を融合して創始した。なのでゾロアスター教マニ教をもとに生まれたわけではない。

ゾロアスター教拝火教(中国では祆教)とも呼ばれ、アフラ=マズダ(光明神)とアンラ=マンユ(アーリマン)(暗黒神)をもとにした善悪二元論最後の審判が特徴である。

 

ローマ帝国の文化に関する記述として、誤りを含むものはどれか。

a 古代エジプトの女神イシスへの信仰が広まった。

b プルタルコスは『天文学大全』を著し、天動説を説いた。

c ローマにコロッセウムと呼ばれる円形闘技場がつくられた。

d マルクス=アウレリウス=アントニヌス帝はギリシア語で『自省録』を書いた。

解説 誤りはb

天文学大全』で天動説を説いたのはプトレマイオスである。プルタルコスは『対比列伝(英雄伝)』を書いた。

 

パルテノン神殿にあった「アテナ女神像」を制作したのは誰か。

a フェイディアス

b プラクシテレス

c ヒッポクラテス

d エウリピデス

解説 正解はa

それぞれ古代ギリシア文化で出てくる名前であるが、プラクシテレスはアテネの彫刻家で、「ヘルメス神像」「クニドスのアフロディデ」などで知られる。アナトリアのコス島出身のヒッポクラテスは「西洋医学の祖」とされる。エウリピデスアテネ三大悲劇詩人(アイスキュロスソフォクレスエウリピデス)の1人であり、『メディア』が代表作。

 

フェニキア人が建てた都市でないものはどれか。

a ティルス

b シドン

c マッサリア

d ビブロス

解説 誤りはc

マッサリアは南フランスのローヌ川近くに古代ギリシア人が建設した植民市。植民市は、古代ギリシア人が周辺各地に進出し建設したポリスで、他にネアポリス(南イタリア)、ビザンティオンなどが建設された。

 

⑧エジプトに関する記述として、誤りを含むものはどれか。

a ロゼッタ=ストーンは、神聖文字・民用文字・ギリシア文字で併刻されている。

b 王ファラオは、太陽の子として国土を支配した。

c 「死者の書」は、パピルスに書かれた呪文や絵からなっている。

d 中王国時代に、都はテーベからメンフィスへ移された。

解説 誤りはd

中王国時代の都はテーベ(現ルクソール)であるが、メンフィスは主にエジプト古王国時代の都である。

 

新王国時代に関する記述として、誤りを含むものはどれか。

a 写実性がゆたかなアマルナ美術が発展した。

b ラメス2世がアブシンベル神殿を建設した。

c ヒクソスの攻撃を受けて、王朝は衰退した。

d トトメス3世の治世に領土が最大になった。

解説 誤りはc

ヒクソスが攻撃したのはエジプトの中王国末期である。ヒクソスとはアジア系民族でエジプトに馬・戦車をもたらす。なおエジプト新王国は、このヒクソスを追放して成立した。

 

以上です。