はい、どうもです。
ここでは過去問の解説を大問ごとにまとめております。
今回は
2020年度 関西学院大学 個別日程(社会・法)
世界史 大問Ⅴ 石油危機
の解説を行います。それでは見ていきましょう。
大問Ⅴ 石油危機
①1970年代以降の先進国に関する記述として、誤りを含むものはどれか。
a イギリスがECに加盟した。
c 先進国間の利害調整のため国連貿易開発会議が創設された。
d プラザ合意によりドル高是正の協調介入が決定された。
解説 誤りはc
国連貿易開発会議(UNCTAD)は、発展途上国の開発を目的に、貿易を中心とした国際協力を推進するための国連常設機関。1964年にジュネーヴで第1回の会議が開かれて以降、ほぼ4年ごとに開催されている。
②シリアが第3次中東戦争で失った領土はどれか。
a ゴラン高原
b シナイ半島
d ガザ地区
解説 正解はa
第3次中東戦争は6日間戦争とも呼ばれる。結果はイスラエルの圧勝でシナイ半島・ガザ地区・ヨルダン川西岸地区・ゴラン高原を占領した。この占領地の中でシリアの領土だったのはゴラン高原。ゴラン高原はイスラエルの占領以前はシリア高原と呼ばれていた。難しかったと思う。
③20世紀後半のエジプトに関する記述として、誤りを含むものはどれか。
a エジプト革命により王政が打倒された。
b サダト大統領が暗殺された。
c アスワン=ハイダム建設に着手した。
d ヨルダンと連合しアラブ連合共和国を形成した。
解説 誤りはd
消去法で選べると良いが、単語自体は難しい。アラブ連合共和国は、1958年にエジプトのナセル大統領がシリアと合邦したことによって成立したが1961年に分離した。
エジプト革命は、ナギブとナセルを中心とする自由将校団の軍人による王政廃止のクーデタで、ファルーク王が追放され、エジプト共和国が成立した(初代大統領はナギブ、次がナセル)。
④イスラエルに関する記述として、誤りを含むものはどれか。
a パレスチナに建国された。
b 第1次中東戦争の際、国際連合の調停により独立を確保した。
c スエズ戦争に参戦した。
d 米大統領ブッシュ(父)の仲介でパレスチナ暫定自治協定を結んだ。
解説 誤りはd
パレスチナ暫定自治協定の調印を仲介したアメリカ大統領はクリントン大統領。まずは、ノルウェーの仲介によってイスラエルとPLO(パレスチナ解放機構)がパレスチナ暫定自治を約束(なのでオスロ合意とも呼ぶ)、その後アメリカのクリントン大統領の仲介でワシントンで調印された。
⑤OPECとOAPECに関する記述として、誤りを含むものはどれか。
a OPEC創設時、イランは加盟していなかった。
c 第4次中東戦争に際し、OAPECは親イスラエル国に原油輸出の停止や制限を実施した。
d OAPECはサウジアラビア、クウェート、リビアにより設立された。
解説 誤りa
OPEC(石油輸出国機構)はイラン・イラク・サウジアラビア・クウェート・ベネズエラによって創設された。なお、OAPEC(アラブ石油輸出国機構)はサウジアラビア・クウェート・リビアによって創設された。
⑥20世紀後半のイランに関する記述として、誤りを含むものはどれか。
a バグダード条約機構に加盟した。
b アングロ=イラニアン石油会社の資産を接収した。
c モサデグ首相が追放された。
解説 誤りはd
イラン=イラク戦争は、イラン革命の混乱に乗じてイラクのサダム=フセインがイランに侵攻したことで始まった戦争。
バグダード条約機構(中東条約機構、METO)の加盟国はトルコ・イラン・イラク・パキスタン・イギリス。モサデグはイランの首相で、1951年にアングロ=イラニアン石油会社を接収し、石油資源の国有化をはかったがクーデタで失脚した。
⑦イラン革命に関する記述として、誤りを含むものはどれか。
a ホメイニが最高指導者となった。
c イスラーム復興運動を高揚させた。
d パフレヴィー朝が打倒された。
解説 誤りはb
イラン革命でパフレヴィー朝が打倒され、ホメイニが最高指導者となったが、ホメイニはシーア派指導者である。難しかっただろう。
⑧イスラーム法学に関する記述として、誤りを含むものはどれか。
a イスラーム法学者でもあったイブン=ルシュドはトゥールーン朝に仕えた。
b イスラーム法学の教育研究機関として10世紀末頃からマドラサが各地に設けられた。
c イスラーム法が根拠とするハディースは、ムハンマドの言行と伝承の記録である。
d イスラーム法学に精通するウラマーはムスリム社会の秩序維持に貢献した。
解説 誤りはa
イブン=ルシュドはコルドバ生まれの哲学者・法学者・医学者であり、ムワッヒド朝に仕えた。またラテン語でアヴェロエスと呼ばれ、医学書として『医学大全』がある。トゥールーン朝は9世紀に成立した王朝でムワッヒド朝は12世紀に成立した王朝。
以上です。